聞くことのちから

 

心理職の高木です。児童養護施設では、ケアワーカーと呼ばれる職員が養育者の役割を担い、毎日子ども達と一緒に生活している横で、様々な専門職がそれぞれの役割を担っています。心理職である私は、子どもとの個別面接や職員との対話が主な仕事ですが、最近はトラウマに関する理解も進み、“こころ”というものを意識する人も多くなってきているように感じます。

 

臨床心理士の東畑開人(とうはたかいと)さんの新書に「専門家は普通の人が互いにケアすることを助けるために存在している」という文章があります。当たり前のことですが、身近な人から理解してもらうことや、話しを聞いてもらうことが、心の回復のために一番役に立ちます。

「ケアを必要としている人」が怒っていたり、引きこもってしまったりと、普通ではない状態の時に、身近にいる人は自分がどう関わって良いかわからなくなってしまう場合があると思います。そんな時、心の専門家である心理職が通訳になれると良いと。なるほど。施設の中にいる心理職が「通訳」の役割としてケアワーカーと子どもの間を行ったり来たりして、なんとなくそこの関係性が良い雰囲気になり、聞く・聞いてもらうの循環がうまくいくようになると、心が安心感を取り戻していく。確かにその通りだなあと、しみじみと実感しました。

 

とても読みやすい本なので、ご興味のある方はぜひご一読ください!